映画 スパイダーマン:スパイダーバースを見た感想!ディズニーやピクサーを超える?

スパイダーマン:スパイダーバース

マーベル・コミックの名作であり、日本でも有名なアメリカのスーパーヒーロー『スパイダーマン』。

そのシリーズ初の長編アニメーション映画となる作品が『スパイダーマン:スパイダーバース』です。

ただ、

など、気になっている人も思います。

そこでこの記事では、そんな『スパイダーマン:スパイダーバース』のあらすじや声優陣、この作品が数多くの絶賛を浴びるその理由を紹介します!

また、実際に私が見た感想も最後に紹介しますね♪

ミミ

スパイダーマン:スパイダーバースのあらすじは? 

今作の主人公マイルス・モラレスは、鬱屈とした中学生活を送っていました。

頭脳明晰な彼は、厳格な父親によって私立の名門中学校に無理矢理入学させられ、気の合う仲間達が居る地元の中学から引き離されてしまいます。

冗談を言い合える友達の中から、冗談を言っても愛想笑いもしない『優秀な』中学生の間に放り込まれ、日々不満を抱えるマイルスの唯一の救いは、趣味のグラフィティ(スプレーで行う落書き)を理解してくれる叔父と過ごすこと。

その叔父に誘われ、地下鉄の線路脇にある地下空間でグラフィティをしていた彼は、放射線の影響で突然変異した蜘蛛に噛まれ、いきなりスパイダーマンの能力に目覚めてしまいます

スパイダーマンの能力に目覚めたは良いものの、マイルスはまったくスパイダーマンの能力を使いこなせませんでした。

マイルスは現在ニューヨークで活躍しているスパイダーマンに教えを乞おうと夜の街をさまよいますが、ようやく出会えたスパイダーマンはピンチの真っ最中、悪の親玉キングピンに倒され、なんと、亡くなってしまいます。

しかし、キングピンが行っていた時空を歪める実験の影響で、違う時空から様々な「スパイダーマン達」が現れます。

彼らと協力し、マイルスは、ニューヨーク中をブラックホールの中に放り込んでしまうかもしれないキングピンの実験を止めるため、新たな「スパイダーマン」になる決意をします。

そもそも『スパイダーマン:スパイダーバース』って?

『スパイダーマン:スパイダーバース』は全世界的にヒットを飛ばしており、映画の興行収入をまとめるアメリカのウェブサイト Box Office Mojo によると、興行収入は全世界で3億ドルを突破、2019年3月17日現在3億6818万2568ドル(およそ410億円、1ドル=111.34円で計算)を記録しています

今作はピクサーの『インクレディブル・ファミリー』を退けて

  • 第91回アカデミー賞長編アニメーション賞
  • ゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞

を受賞しており、批評家から著名人、一般の視聴者に至るまで幅広い層から絶賛を浴びている、今注目の作品です。

この作品は、ほとんどがディズニーやピクサーの作品で占められているアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した異例の作品となりました。

独特のサイケデリックな映像に、様々なタイプのスパイダーマン、そして「ピーター・パーカー」ではないアフリカ系の主人公。

この作品は、その特徴を挙げればキリがありません。良く言えば独創的、悪く言えばとっ散らかった印象を受けるこの作品は、なぜ世界中で絶賛されているのでしょうか。

それは、この映画を構成するすべての要素が異常なまでに高いクオリティで、長編アニメーションの新しい時代を感じさせるほどに斬新だからです。しかし、それだけではありません。

マイルス・モラレスという主人公を中心とした多彩で骨太なストーリー 

そもそも、大前提として、スパイダーマンの主人公と言えば「ピーター・パーカー」です。

彼はうだつの上がらない高校生で、学業は優秀ですが、恋愛は上手くいかず、意中のMJ(メリー・ジェーン・ワトソン)と話すのも一苦労で、学校ではいじめられています。

そんな彼は、たまたま出くわした突然変異の蜘蛛に噛まれ、スパイダーマンの力を手に入れるのです

彼はスパイダーマンの能力を手に入れて人生を一変、初めは自分のためだけに能力を使いますが、自分の不注意で大切な家族であるベンおじさんを亡くしてしまいます。

これをきっかけにして、ピーターはベン伯父さんの遺した言葉を胸に、スパイダーマンの能力を人のために使うスーパーヒーローとなります。

以上が、スパイダーマンの典型的なプロローグです。

1番の魅力はなんといっても3Dと2Dが融合した新時代のアニメーション

この作品を語るにあたって、まず外せないのはそのヴィジュアルの素晴らしさです。

いくつかのトレーラーを見てもらえばすぐにわかりますが、本作の映像は非常に独特な雰囲気を放っています。

ベースとなるのは、ディズニーやピクサーが製作するような一般的な3DCGの映像ですが、そこにコミック的な表現が入ることで、まるでコミックを映像で『読んでいる』ような感覚に視聴者は陥ります。

オノマトペや効果音、四角いコマの中で語られる心理表現や、コマ割りされた画面は、奇妙ななじみやすさと共に、これまでにないスタイリッシュさも感じさせるのです。

本作は、その色彩も異彩を放っています。特に、夜や戦闘のシーンでは、パンクでサイケデリックな蛍光色が画面を飾ります。

これも、一歩間違えればダサく見せてしまうコミック的な表現を、よりかっこよく見せる一つの要因となっているでしょう。

本作の目玉である6人のスパイダーマンはそれぞれ画風が異なっていますが、彼らが同じ画面に居ても全く不自然さがありません。

3DCGに加えられた2D的な演出が、3Dの画風で形づくられたスパイダーマン達と、2Dの画風で形づくられたスパイダーマン達の間の架け橋になっているのです。

『スパイダーマン:スパイダーバース』の映像は、3DCGで作られた画面に手描きを加えたことで、通常の人数の2倍のアニメーターを必要とし、普通の長編アニメ映画では4秒の映像が一週間で製作できるのに対して、二週間かかっています

YouTubeで公開されているメイキング映像では、

  • 製作のクリストファー・ミラー
  • 製作/脚本のフィル・ロード
  • 監督のボブ・ペルシケッティ
  • 脚本/監督のロドニー・ロスマン
  • 監督のピーター・ラムジー

これらの方々が、それぞれ本作の映像制作に対する意図を述べています。

彼らの言葉からは、この映画の映像にかける熱がありありと感じられます。彼らはコミックの表現を尊重しつつ、3D×2Dの表現で新境地を開くために、映像に様々な考えを巡らせ、工夫を凝らしているのです。

メイキング映像を見ることで、製作者の熱意と愛、努力、これまでになかった発想が、2Dと3Dの垣根を超えた新たな世界を形作っていることがわかるでしょう。

スパイダーマン:スパイダーバースの日本語吹き替え版の声優は?

今作の魅力をまとめると

  • 衝撃的な映像
  • 映画の世界観とマッチした音楽
  • 6人ものスパイダーマンの登場

ですが、それに加え、日本語吹き替え版ではその声優の豪華さが挙げられます

主人公のマイルス・モラレス役は「小野賢章さん」

主人公のマイルス・モラレスを演じるのは、映画『ハリー・ポッター』のハリー・ポッター役で有名な声優の小野賢章さんです。

最近では、シリーズ全100巻を超える少年ジャンプの名作『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部『黄金の風』のアニメで、主人公ジョルノ・ジョバァーナを演じています。

リアルな少年の感情の揺れ動きを演じさせたら右に出るものは居ないほどの、実力派声優です。

小野賢章さんのマイルス・モラレスはハマり役と言って良いと思います。

声変わり前の少年の透き通った高い声ですが、どこか癖があり、マイルスの胸の内側で渦巻く思春期特有の複雑な感情を感じさせます。

少年らしい軽快さやかわいらしさも存在し、まさに、ありふれた少年からスーパーヒーロー・スパイダーマンへと成長していくマイルスという存在に魂を吹き込む声でしょう

スパイダーマン、ピーター・“B”・パーカーは「宮野真守さん」

そのマイルスを導くことになるスパイダーマン、ピーター・“B”・パーカーを演じるのは、今、最も活躍していると言っても過言ではない声優、宮野真守さんです。

『ハリー・ポッター』と世界観を同じくする映画作品『ファンタスティック・ビースト』シリーズでは、主人公ニュート・スキャマンダーの吹き替えを担当しています

ピーター・B・パーカーは、マイルスがいる次元の完璧なスパイダーマンとは打って変わって、恋愛も上手く行かず、中年太りでお腹が出ている残念なスパイダーマンです。しかし、長年ニューヨークを守って来たスーパーヒーローでもあります。

頼れるヒーローとしての一面と、ぐうたらで、人生に失敗してしまった感じがプンプンする中年男性としての一面を持つ、複雑で魅力的なピーター・“B”・パーカーを、宮野真守さんはその豊富な演技力でコミカルに、時にはかっこよく演じています。

グウェン・ステイシーは「悠木碧」さん

マイルスと同じ中学に通っている、実は別次元から来たスパイダーウーマンだった少女、グウェン・ステイシーを演じるのは、悠木碧さんです。

悠木碧は名作アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公、鹿目まどかを筆頭に、数多くのアニメの主人公やヒロインを演じています。

もともと、スパイダーマンシリーズを手掛けるマーベルのファンで、今回マーベルのヒーローを演じるのは念願のことだったそうです。

グウェン・ステイシーの声は、たとえ鑑賞前から悠木碧さんが吹き替えを担当していると知っていても、すぐには悠木碧さんの声だとはわかりません。

普段は女の子らしい可愛い声・演技の悠木碧の今回の役どころは、スマートでかっこよく、強い女の子であるスパイダーウーマン。

芯のとおった力強い声は、悠木碧の新たな一面を視聴者に見せてくれるでしょう。

その他の豪華声優陣

他にも、1970年代の刑事風のスパイダーマン・ノワールを演じるのは、大御所声優である大塚明夫さん

スパイダーマン・ロボットSP//drを操るペニー・パーカーを演じるのは新進気鋭の声優である高橋李依さん

カートゥーン風の異色のスパイダーマンであるスパイダー・ハムを演じる吉野裕行さんも特徴的な役どころを得意とする実力派です。

スパイダーマンたちを除いても、吹き替えを担当する声優には多くの名優が名を連ねており、アニメファンでない視聴者でも一度は聞いたことのある声が聞こえてくると思います。

加えて、今作は、彼ら出演声優の演技が光っており、『スパイダーマン:スパイダーバース』という作品の質をより一層高めているでしょう。

実際にスパイダーマン:スパイダーバースを見た感想

実を言うと、筆者はスパイダーマンのことをそれほど知りません。(すいません)

2002年、2004年に製作されたサム・ライミ版の映画「スパイダーマン1・2」を辛うじて見たことがある程度です。

しかし、それだけでも、「ピーター・パーカーがスパイダーマンの主人公」という事実は、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という名台詞と共に、頭にしっかりと刻み込まれていました。

MEMO
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」……作中で亡くなるピーターの伯父ベン・パーカーが遺した言葉であり、スパイダーマンのヒーローとしての精神を表した台詞。

マイルス・モラレスの役柄について

ただ、今作の主人公は父親がアフリカ系、母親がスペイン系の、見た目からして完全にアフリカ系アメリカ人の少年「マイルス・モラレス」です。

「ピーター・パーカー」という人物は出てきますが、この映画は彼が主人公ではありません。

ご存知の方も多いと思いますが、アメリカという国では歴史的にヨーロッパ系の白人がマジョリティに属し、アフリカ系アメリカ人をはじめとするマイノリティは差別されてきました。

現代に入ってその状況は徐々に改善されつつありますが、今でもその意識はアメリカに根強く残っています。

今作の主人公「マイルス・モラレス」は、製作国アメリカではマイノリティに属するのです。

そういう意味で、マイルスという主人公は、ヒーローではない一般人に「ピーター・パーカー」よりも寄り添った主人公と言えるでしょう

あらすじにも示した通り、マイルスの人生は順風満帆とは言えません。

彼は頭脳明晰という長所はありますが、本当は絵が描くことが好きなのに警察官の父親には理解してもらえず、父親の意向で通わされた中学校では孤立しており、父親と自分の間にできてしまった溝に悩まされています。

彼が唯一頼れるのは叔父のアーロンだけで、そのアーロンおじさんにも、スパイダーマンになってしまったことは相談できずにいるのです。

頼りになる自分の次元のスパイダーマンはすでに亡く、異次元からやって来た仲間たちはみな経験豊富で、スパイダーマンの能力に目覚めても上手く扱えず、足手まといになってしまう自分に苦悩します。

彼は「ピーター・パーカー」のようにうだつの上がらない少年で、しかもピーターが高校生でスパイダーマンの能力に目覚めたのに比べ、中学生で能力に目覚めてしまった少年で、長所はありながらも、人生はまったく上手くいっていません。

彼はグラフィティの才能があり、自作のステッカーを街に貼ったり、イカすグラフィティを作中で見せてくれたりしますが、そのタイトルは「大いなる誤算」。

彼にとって人生とは、誤算ばかりの思い通りにならない存在なのです。

「マイルス・モラレス」は才能豊かだが家族の理解が得られず、スパイダーマンの能力に目覚めてもいきなりスーパーヒーローにはなれない、苦労の多い主人公です

彼が主人公であること、それこそが、この作品が成功した一番の理由と言っても過言ではないでしょう。

マイルスは『スパイダーマン:スパイダーバース』の世界で大きく成長します。

この作品の中で、彼は様々な人間と触れ合います。家族、叔父、友人、別次元から来たスパイダーマン達、そしてニューヨークを危機に陥れようとする敵(ヴィラン)達。

彼らには彼らなりの思いがあり、マイルスにはマイルスなりの思いがあります。それらは時にすれ違い、時に衝突もしますが、優しく寄り添うこともあります。

マイルスは思い通りにならない現実に打ちひしがれる、我々のような一般的な人間から、様々な人との触れ合いを通して、スーパーヒーロー・スパイダーマンとして再誕するのです。

まるで、私達の隣にでも居そうな少年マイルスが、苦悩し、厳しい現実に直面しながらもスーパーヒーローになることで、この作品のメッセージ「誰もがヒーローになれる」を、確かな説得力をともって私達に伝えてくれます。

まとめ

強烈すぎる魅力を多分に含んだ今作『スパイダーマン:スパイダーバース』は、

マイルスという少年を物語の軸とする事で、その暴れまわるような多様な個性達を、一つの作品へとまとめ上げ、昇華した傑作です。

この作品には、見た人を勇気づける力があります。

主人公マイルスは物語の最後に、「自分にこんなことができるとは思わなかった。でも、できたんだ。誰にでもマスクはかぶれる。君だってかぶれる。そのことを僕は、君に言いたい」と言います。

この作品を初めから終わりまで見た人は、マイルスのその言葉が、決して口先だけの綺麗事だとは思わないでしょう。

マイルスは、スパイダーマンのパワーだけでヒーローになったのではありません。彼には何度でも、厳しい現実に打ちひしがれ、倒れてしまいそうになる時がありました。

彼には最初、ヒーローに必要な勇気も自信も欠けていました。しかし、マイルスはそれでも立ち上がり、誰かのために戦うことを選び続けます。

そうして彼は、スーパーヒーローにふさわしい勇気と自信をもって、ニューヨークの街を飛ぶことができるようになったのです。

これまでにない斬新で高いクオリティの映像も、6人ものスパイダーマンも、素晴らしい音楽や演出、演技も、全てはマイルスの成長を描くために存在します。

この作品は、映画を形作る全ての要素において最高のクオリティを誇っています。平成が終わり、新しいが、先行きの見えない時代が到来するこの国で、自分の人生を切り開く勇気をくれる、そんな映画を、映画館に足を運んで鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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